腕を噛まれて血しぶき4メートル! ライオンとじゃれたら頭を200針縫う大ケガ! 壮絶すぎる猛獣映画の世界

1966年に公開された『野生のエルザ』というイギリス映画をご存知だろうか? ケニアの狩猟監視官ジョージが人食い事件を起こした雌雄のライオンを射殺。残された3頭の赤ちゃんライオンを引き取って前例のなかった人工保育に挑み、2頭を動物園に、残り1頭の“エルザ”を野生へと帰すことに成功したジョージはその後、母となり子ライオンを引き連れたエルザと保護区で再会する……という感動的なノンフィクション作品だ。しかし、同じく“動物と家族になる”というテーマにも関わらず「史上もっとも危険な映画」として数奇な運命をたどった作品があった。

1981年に公開された『ロアーズ 猛獣一家は大騒ぎ!?』は、ライオンやトラ、ヒョウ、ピューマといった大型猫科動物と人間たちの共存を描いたファミリー映画。あの『エクソシスト』の制作総指揮を務めたノエル・マーシャルが主演、監督、脚本を務めた大予算作品だったが、アニマルプラネット『猛獣映画・撮影の惨劇』ではその壮絶すぎる制作秘話を紹介している。

 

映画制作はノエルの意向によって、動物を育てるところからはじまった。小屋を建てて150頭の猛獣たちを飼育するというスケールの大きさにも驚きだが、現在の動物愛護の視点からは到底考えられないアプローチだ。

撮影序盤に陥った資金難は、『エクソシスト』の大ヒットによって回避。しかし、今度は人材不足の問題に直面する。猛獣に囲まれながらの危険な撮影に参加したい人材などそうそういないだろう。そこでスタッフは「猫の手も借りたい」とばかりに誰かれ構わずに雇うことになる。

未経験のスタッフによる撮影チームを束ねたのは、後に『スピード』や『ツイスター』を監督し大ヒットさせることになるヤン・デ・ボンだった。ところが撮影技術に長けたカメラマンのヤンでさえ無傷では済まず、撮影中に頭を200針も縫う裂傷を負ってしまう。彼以外にもケガ人が続出し、週に1度は誰かが病院に担ぎ込まれたというから、ほとんど戦場レベルの苛烈さだ。

当然ノエルも日常茶飯事にケガを負い、ライオンに噛まれたときは血しぶきが4メートルも飛んだという。しかし、救急車で運ばれたにもかかわらずUターンして撮影現場に戻ったノエルは、「俺の手を撮って映画に使うぞ」と、止血の済んだ手にニセモノの血をつけて撮影に挑んだというから、もはやプロ根性というより執念、いやビョーキと言っても過言ではない。

そんなカオスな状況にあって奇跡的に死者は出なかったという『ロアーズ』。この問題作がどのようにして完成したのか?
作品と関係者たちが、その後どのような道を歩むのか? その顛末を最後まで見届けよう。

「猛獣映画・撮影の惨劇」はアニマルプラネットにてご視聴頂けます。アニマルプラネットを未視聴の方は、こちらからご確認ください。