銃の規制緩和は犯罪抑止にはつながらない…スタンフォード大の研究で明らかに

アメリカでは2015年だけで3万6千人以上が銃によって命を落としたそうだ。他の先進国に比べると銃による殺害率は25倍、銃による自殺率は8倍も高い。

このような現状を踏まえて銃規制を求める声が上がるのは当然だが、同時にアメリカでは銃を所有する権利を主張する意見も多い。銃を所持することで犯罪や暴力を抑制できるという考え方もあるからだ。銃を規制するか、それとも銃を所有する権利を認めるかの挟間で、アメリカの政策は過去40年間に渡って大きく後者に傾いてきた。銃に寛容なトランプ政権誕生後もその流れは変わっていない。 

どのような政策を掲げれば銃による暴力が効果的に削減できるのか、これについての学術的知見も分かれている。銃を規制する、あるいは緩和する政策の効果について調べた過去研究から見えてくるものは、不完全なデータによる不完全な結論だとスタンフォード大学のDonohue教授(法学)は言う。さらに、全米ライフル協会の強力なロビー活動により、銃規制に関する研究そのものが資金をカットされ大幅に減っているのが現状だそうだ。 

そこでDonohue教授とデューク大学のCook教授は、いままでの銃研究を総観して、そこから一貫した方向性を見出せないか調べた。Donohue教授いわく、不完全なデータを様々な統計方法で総合的に再検証することにより、今後の政策に一定の方向性を示せるかもしれないと思ったそうだ。

研究の結論は銃規制に重きを置くものだった。まず第一に、隠して(人目に触れないように)銃を携帯する規制を解除すると、暴力的な犯罪が増すこと。第二に、家庭内暴力で起訴された人に対して銃の所有を規制することで、女性のパートナーに対する暴力が減ることが明らかになったそうだ。 

現在、アメリカの国会では新たに銃所持を緩和する政策が検討されている。もともと銃を所持する権利と、銃を公の場で隠し持つ権利とは別々に規制されてきており、その政策は州によって様々だ。今回導入が検討されている新しい国家レベルの政策では、銃を隠し持つ権利を認めている州の住民が銃を隠し持ったうえで、銃を隠し持つ権利を認めていない州に合法的に越境できるというもの。Donohue教授とCook教授の研究が示唆した方向性とは真逆なだけに、この政策が可決されるか興味深い。

Saving lives by regulating guns: Evidence for policy (Science)
New Stanford study analyzes recent research on causes of gun violence (Stanford University)