失われたダ・ヴィンチの絵が史上最高落札価格の508億円を記録

レオナルド・ダ・ヴィンチの失われた名画『救世主(Salvator Mundi)』がアメリカのクリスティーズでオークションにかけられ、美術品の落札価格としては史上最高額の4億5千万ドル(約508億円相当、手数料も含む)で落とされた。今までの最高額を記録していたピカソの「アルジェの女たち」の価格を倍以上も上回った。

電話を通じてオークションに参加したというミステリアスな落札者は、実はサウジアラビアの王子だったとThe New York Timesが明らかにしている。(ちなみにサウジアラビアには5000人ほどの王子がいるらしい。)『救世主』は今後中東に飛び、11月にオープンしたばかりのルーブル・アブダビ美術館にて展示される予定だそうだ。

人類史上もっとも高名な画家がもっとも象徴的な宗教家を描いた歴史的な作品なのにも関わらず、『救世主』は長い間行方がわからなくなっていた。もともとはフランスのルイ12世のために描かれたとされ、後にイギリスのチャールズ一世が処刑されるまでは彼の所有下にあったという。その後100年以上も行方がわからないまま1900年に再浮上した時は、すでにダ・ヴィンチのイエス・キリストの上に別の劣悪な絵が上書きされており、もはやこれが本物だと誰にも分らなくなっていた。

1958年に競り落とされた価格はたったの45イギリスポンド(約6800円)。ところが2005年に別のコレクターに買収されたことで一気に展開が開けた。本物かもしれない期待を胸に丁寧に表面の絵具をはがしていくと、そこに本物のダ・ヴィンチの絵が神々しい姿を現したのだ。実際ダ・ヴィンチの作であったかどうかはその後6年もかけて専門家が鑑定したそうだが、おおむね見解が一致したという。

完璧主義者だったダ・ヴィンチは、描き始めた絵に嫌気がさして途中で放棄してしまうことが多かったらしい。そのせいで彼が描いた現存する絵は『モナ・リザ』や『最後の晩餐』を含む20点ほどしかない。今回の『救世主』はダ・ヴィンチの最後の失われた絵と言われている。

$450m ‘Da Vinci painting’ heads to Louvre Abu Dhabi (BBC)
The Last da Vinci (Christie’s)
The Mysterious Buyer of the $450 Million Leonardo da Vinci? A Saudi Prince (The New York Times)