Credit : NASA

地球温暖化で北極海の漁が禁止へ…アメリカとロシアなどが「歴史的な合意」

先月30日までアメリカ・ワシントンで行われていた国際協議会において、日本、中国、アメリカ、ロシアを含む計10カ国が北極圏の公海での商業漁業を今後16年間禁止することで合意した。

対象となるエリアは北極点を含む約280万平方キロの海域で、北極沿岸国であるアメリカ、カナダ、ロシア、ノルウェー、デンマークの排他的経済水域に囲まれた通称「ドーナツの穴」だ。厚い氷に閉ざされて大々的な漁業活動には適さなかったが、地球温暖化の影響で海氷が溶けだしてきている今、この海を守る必要性が高くなってきている。

いかにアメリカの大統領が地球温暖化を認めずとも、北極海で氷が溶けてきている事実は変わらない。NASAによれば、今年の1月から8月にかけて観測された北極海の氷の面積は、1970年代に観測が始まって以来の最小値を記録し続けたそうだ。冒頭の写真中央に見える白いもやがかった塊が氷で、それを取りまく黄色い線は過去30年間に観測されたデータの平均値を意味している。

「海氷」とは温度低下により海水の層が一部凍ったもので、その面積は気温と気候に影響される。海氷の白い表面が太陽光線を反射するため、地球全体を冷やす「地球のエアコン」の役割を担っているそうだが、地球の温度が上昇して氷が溶けだすことでエアコン機能が低下してしまい、温暖化を助長することにもなりかねない。

海氷の溶解は北極海の生態系にも悪影響を及ぼしかねず、深刻な状況だ。氷の上で生活するホッキョクグマやセイウチのみならず、北極の海にはホッキョククジラ、シロイルカやイッカクなど貴重な生物が生息している。今後、科学的な調査をもとに北極圏の「ドーナツの穴」をどのように管理・整備していくかを引き続き検討する必要があるが、それまでの措置として当面16年間漁業を禁止する方針だという。

今回の合意はアメリカとロシアとの敵対関係を乗り越えた「歴史的な合意」だという。また、北極沿岸国以外にも漁業がさかんな日本、中国、韓国、欧州連合とアイスランドが賛同したことにも大きな意義があるそうだ。

Russia, U.S. and Other Nations Restrict Fishing in Thawing Arctic (The New York Times)
End-of-Summer Arctic Sea Ice Extent Is Eighth Lowest on Record (NASA)
Protecting the Arctic (The Ocean Conservancy)

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