Credit : Creative Commons

シマウマのストレス、アレからわかっちゃう?

「Cape mountain zebra」というヤマシマウマの亜種は、一度は絶滅の危機に瀕したシマウマだ。20世紀に居住地域の破壊や、皮目当ての乱獲などにより一時は80頭までその数が減っていたのだが、今では保護活動が功を奏し、その数は現在では4000から5000匹まで戻った。個体数が減っていたところからここまでの数に増えたのは良いことかもしれないが、現在このシマウマたちの個体数は伸び悩んでいる。

マンチェスター大学のSusanne Shultzらは、このシマウマの「糞」を採取し調べる研究を行った。そこからは、糖質コルチコイドからストレスを、そして「男性ホルモン」とも呼ばれるアンドロゲンからは雄の健康具合を判断することができたというのだ。

研究では2年をかけて6カ所の生息域からサンプルを集めた。それにより判明したのは、繁殖が上手くいっている地域では雄のアンドロゲンレベルが繁殖期にのみ上がり、ストレスレベルは寒い時期にのみ上がった。それに対して繁殖が上手くいっていない地域では、アンドロゲンもストレスレベルも常に高い状況で、慢性ストレスにある様子であった。

高いストレスは、現在このシマウマたちが住まう環境が、かれらに最適な場所で無かったり、気候変動の影響を受けていることもその要因となっている。常に高いアンドロゲンは、雌の数が少ないことに起因した、雄同士の競争などによるもので、これも雌に対する負担となり、繁殖に関してネガティブな影響を与える。繁殖率はストレスの判断基準である糖質コルチコイド濃度と負の関係があること、雌の繁殖力は、アンドロゲンの値と負の関係があることが判明した。個体の糞のホルモンから、そのグループの繁殖率の関連性を見いだしたのだ。

しかしこの研究が明らかにしたのは、それだけでは無い。糞を調べるという無侵襲的な調査の有用性だ。動物を捕まえて採血したりしなくても、「おとしもの」さえ見つけて調べることで、シマウマだけで無く、多くの哺乳類でも同様のことを調べることができるというわけだ。これは絶滅の危機に瀕した他の動物の保護活動にも役立てられることだろう。

(無論鶏糞や牛糞などは使われるものの、)肥溜めも無くなり、人糞が肥料として使われなくなって、排泄物に価値を見いだすことの乏しくなった現代。人糞を使用したメタンガスを燃料として用い利用するという話題が時折見られる他は、主に罵詈雑言として用いられたり、おちゃらけたソフトクリーム状のキャラクターとして用いられる以外に「排泄物」に大きく日の光が当たることもなくなってきた。ただ汚く臭いものという現代の社会通念から一歩踏み出して、「うんち」について考え直してみるのも悪くないかもしれない。

How Stressed Out Are Zebras? Just Ask Their Poop(Smithsonian)
Non-invasive physiological markers demonstrate link between habitat quality, adult sex ratio and poor population growth rate in a vulnerable species, the Cape mountain zebra(British Ecological Society)

RELATED POST