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軍事用だけじゃない!様々な分野で活用されるパワードスーツ

「ウェアラブルテクノロジー」と言えば、スマートウォッチなどを思い浮かべる人も多いかもしれないが、今回ご紹介するのは「ウェアラブル」な技術の中でも、いわゆる「パワードスーツ」とよばれるものだ。体の上にまとうことで、自身の肉体の力を上回る力を出したり、機能を付加したりすることのできるパワードスーツは、小説『宇宙の戦士』、コミックや映画でも知られる『アイアンマン』や、映画『エリジウム』などでも見ることができる。

そんな、エンターテインメント作品ではよく見られるパワードスーツ。まだまだSF的な響きがある気がするし、そういった作品ではどうしても戦闘用のものばかりに目が行きがちだ。もちろん、軍事用のパワードスーツの開発も盛んだ。アメリカでは「TALOS」、「HULC」、「Warrior Web」など様々なものがあるし、日本でも防衛装備庁が「高機動パワードスーツ」の研究を推進している。しかしパワードスーツはそういったもの以外にもいろいろ存在し、すでに我々の知らないところで人々の役に立っている。

BBCの報道では、自動車会社フォードのアメリカの工場では組み立て作業者たちにEksoVestというエクソスケルトン(外骨格)スーツを着けさせている。一日4600回腕を上げることのあるこの仕事だが、EksoVestのおかげで、腕あたり2.2~6.8kg分の力をスーツがになってくれ、作業者の仕事が楽になったという。これはバネを利用したもので、電源を必要としないものだ。このほかにもアメリカではロッキードマーティン社がすでに長期にわたりパワードスーツを使用している他、小売店Home Depotも試験的に積み荷を降ろすのに使用したりしている。

日本に目を向ければ、サイバーダイン社が医療やリハビリ用のパワードスーツを開発している。同社の「HAL福祉用/医療用(下肢タイプ)」は、足部分に装着し、皮膚表面の生体電位信号を読み取り、下肢の動きをアシストするもの。このほかにも建設現場でも同社の「HAL作業支援用」などがすでに使用されている。(なお社名ともなっているCyberdyneは映画『ターミネーター』シリーズ作中でSkynetを生み出した企業の名前だ。反乱を起こさなければいいが…。)

Credit: Atoun via Facebook

同じく日本ではAtounが映画『エイリアン2』に出てきたような重作業用の大型パワードスーツ「NIO」を開発中。同社は少子高齢化で働き手が不足した環境でも現場の生産性を高める事を目的とし、多人数が必要な建物の鉄骨を設置する作業の必要人員を削減することのできるパワーアシストアーム「ATOUN MODEL K」なども提供している。

大抵はこのように人々の機動性を高めたり、負担を軽減したりするために使われるパワードスーツだが、中には変わりものも存在する。

老化をシミュレーションするための「Genworth R70i」もそんなひとつだ。四肢を覆うスーツの関節にはブレーキなどがついており、動きづらくなる他、ヘッドセットでは視界の問題、一部の音域が聞こえないなどの聴覚の問題を再現することにより、誰も避けて通ることができない「老化」を身をもって体感するというパワードスーツだ。これにより老化を体験することにより、老化症状に対して理解を深めることを目的として作られた。

アーティストのLouis-Philippe DemersとBill Vornによるパワードスーツを用いたインスタレーション作品『Inferno』はこれまで紹介してきたものとは全く違う。この作品では参加者がパワードスーツを身にまとうのだが、パワードスーツは参加者の意思とは関係なく動き始める。テクノロジーと一との関係性と相互依存性を描いたものだった。

今のところ医療用のパワードスーツの価格は高価なため、今後人々の日常生活を助けるために一般的なものとなるかどうかは未だなんとも言えない。しかし様々な企業がパワードスーツを開発し、また採用していることからは、今後パワードスーツが今よりも身近な存在になることは間違いないだろう。

Turning workers into ‘super workers’ with robotic suits(BBC)
The Genworth R70i Aging Experience(Genworth)
(Atoun)
What is HAL(Cyberdyne)
研究開発について(防衛装備庁)
人間をロボットに組み込んだ「テクノロジーの地獄絵図」は我々に何を訴えかけるのか(FUZE)

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