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石器時代の女性は細マッチョだったことが骨から判明

文明の利器は私たちに便利な暮らしを授けてくれた。一方で、その代償として失ったものがあるとしたらそれは「筋力」かもしれない。

先史時代の女性の骨と、現代の女性の骨とを比べた世界初の研究が科学誌「Science Advances」に発表された。それによると、今からおよそ7000年前に生きた女性のほうが、現代の女性よりもはるかに腕力が強かったことがわかった。腕力のみに言及するなら、さらに強かったのは今から4000年前の青銅器時代を生きた女性たちだ。腕相撲の勝負なら、現代屈指のアスリートでも青銅器時代の女性にはかなわないだろう。

しかし、なぜ骨を比べただけで筋力がわかるのだろうか?イギリス・ケンブリッジ大学のAlison Macintosh博士(自然人類学・考古学)によれば、骨は生きた細胞の集まりなので、生活の中で繰り返し衝撃を受けたり筋力の負荷をかけられたりするうちに変形していくそうだ。負荷のかかり方によって、骨のかたち、丸み、太さ、骨密度などに変化が出る。

そこでMacintosh教授率いる研究チームは、まず小型CTスキャンで世界トップレベルのアスリートたちの上腕骨と脛骨(けいこつ:すねの内側の細長い骨)の特徴を調べた。実験に参加したのはケンブリッジ大学ローイングチームの女性16名(今年の全国大会で新記録を打ち出し圧勝したそう)、サッカー選手11名、マラソン選手18名、そして37名の一般的な大学生たち。同じ運動をしている――すなわち骨に同じような負荷をかけている――女性同士に共通する骨の特徴を割りだし、それを新石器時代、青銅器時代、鉄器時代と中世時代の女性の骨と比較した。

その結果、新石器時代の女性は現代のローイングチームの女性に比べると脚の筋力に大差はなかったものの、腕っぷしは11-16%強かったことがわかった。ちなみにローイングは今回研究対象となったスポーツの中でも特に過酷なトレーニングで知られ、船をこぐ際の腕の反復的な動きが特徴だ。

驚くことに、これまで女性の古代人の骨の比較対象は男性の骨のみだったそうだ。女性と男性の骨とでは同じ負荷がかかっても影響の出方が違うので、結果的に古代女性の労働力が過小評価されていたらしい。

今回の研究では初めて女性同士の骨を比較することで、古代女性が過酷な労働環境に置かれていたことが解明された。Macintosh博士の考えでは、おそらく農耕作業のなかでも特に石うすを使った製粉作業が古代の女性の腕力を鍛えたとみている。

石うすのほかにも農耕文化における女性の力仕事は多岐に渡り、その多様性が骨のかたちにも表れているそうだ。そしてそのような女性の労働力は、どの時代においても農耕経済の発展を支えてきたと推測される。

Prehistoric women’s manual labor exceeded that of athletes through the first 5500 years of farming in Central Europe (Science Advances)
Prehistoric women’s manual work was tougher than rowing in today’s elite boat crews (University of Cambridge)

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