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究極のアウトドア生活?国立公園の中に住んでみたい人がイギリスで急増中

空と草原がどこまでも広がる美しい自然公園に、いっそ住みついてしまいたい…。そんなアウトドア派にはたまらなく魅力的な選択肢が、どうやらイギリスにはあるらしい。不動産系ウェブサイト「Homes & Property」によれば、イギリスの国立公園内の私有地は個人が売買できるそうで、豪勢なお城から素朴なコテージまで物件はよりどりみどりだ。

ただし、お金次第という厳しい現実は変わらない。国立公園内の物件価格は需要に対して供給が少ないことも災いして、通常の物件よりも平均して£116,500(約1700万円)お高いそうだ。

それでもイギリスの国立公園内に存在する物件の平均価格は£368,804(約5460万円)というから、日本人の感覚からするとムチャクチャ高いわけでもない。キャンピンググッズを揃え、わざわざ何時間もかけて毎週末国立公園に出かけていく手間と費用を考えれば、現地に居を構えたほうがオトクなのではないかと思えてしまう。

では所変わって日本ではどうだろうか?調べてみると、日本の国立公園内にも私有地が存在することがわかった。なんと、私有地は国立公園の面積の約25.6%も占めていると環境省の冊子で知ることができる。これらの土地はもちろん売買の対象となっており、ネットで探せば日光国立公園内や伊勢志摩国立公園内に位置する山荘や更地の物件がすぐに見つかる。日本でもその気になれば国立公園内に住めちゃうということだ。

しかし、そもそも国立公園内に人が住んでいいのだろうか?自然を保護する場所に人が住んだら弊害はないのだろうか。その矛盾を理解するにはまず、日本の国立公園のしくみ自体をひも解く必要がある。

環境省によれば「日本の国立公園は、我が国を代表するすぐれた自然の風景地の保護と利用の増進を図り、もって国民の保健、休養、教化に資することを目的とする制度」。ここで重要なのは「自然の保護」を直接うたっていないことだ。保護対象はあくまで自然の風景地であり、「自然環境保全や生物多様性保全とは厳密にいえば概念が異なる」のだそうだ。したがって、国立公園内の私有地に関してはあらゆる規制がかけられていて、自然の風景地を損なうような建築物、商売、宣伝等は原則許されていない。そのための手続きや認定プロセスも煩雑だ。

なぜこのような制度になったかというと、日本では限られた土地を有効活用するためにアメリカのように国立公園の地域を公園専用に限定せずに、土地の所有にかかわらず公園を指定できる「地域制自然公園制度」を採用しているからだ。これはイギリスもおなじで、地域制自然公園内に居住する人口が多いのが特徴。ちなみに国立公園内の人口は日本では65万人、イギリスでは29万人。知らなかっただけで、実は日本の国立公園に住んでいる人はイギリスよりも多かった。

Back to nature: the New Forest named most expensive national park in England and Wales — but Snowdonia is a steal (Homes & Property)
National Parks (National Parks UK)
国立公園とは(環境省)
日本の国立公園(環境省)
国立公園内(普通地域を除く。)における各種行為に関する審査指針の細部の解釈及び運用の方法について(環境省)

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