牧師の“平等愛”が1人の老女の嫉妬心に火をつけた!? 教会で起きた凄惨な事件

教会はアメリカ人にとって祈りをささげるだけではなく、地域の住民が交流し、コミュニティーを築くためにも重要な場所だ。しかし、家族のように人々が接するからこそ情愛は深くなり、ときには誤解を生み、そして悲劇を招き入れることもある。ペンシルベニア州西部のスプリングフィールドで起きた凄惨な殺人事件もその一つだ。 

1993年8月26日、メアリー・ジェーン・フォンダーは80歳になる父親、エド・フォンダーが散歩に出かけると言って外出したまま行方不明になったと警察に連絡した。当時駆け出しの捜査官だったトライオール巡査は、親身になって彼女の話を聞き捜索を続けたが、結局エドの居場所は分からなかった。その後、メアリーは心のよりどころを「トリニティ福音ルーテル教会」に求めるようになる。彼女はとても献身的に教会に尽くす日々を送っていた。 

ある日、グレッグ・シュリーヴス牧師が着任すると、教会の人々は大いに彼を歓迎した。ロンダ・スミスという女性も牧師に感銘を受けた1人で、シュリーヴス牧師は裕福な信者を通じて貧しい彼女を支援し、生活を助けた。もちろんメアリーにも気を掛け、孤立していれば人の輪の中に招き入れた。シュリーヴス牧師の思いはただ1つ、信者全員が家族の一員であることだった。 

ところが2008年1月23日、教会で悲劇が起こる。ロンダが頭を銃で撃たれた状態で発見されたのだ。その日の夜に彼女は息を引き取った。監察医の報告書では、わずか1メートルという至近距離で撃たれたことが判明し、身近な人間による残忍な犯行を匂わせていた。 

信者たちに警察が聞き込みをすると、思い込みや被害妄想が激しい人物として、たびたび名前があがった人物がいた。メアリーだ。シュリーヴス牧師も「彼女だったのかもしれない」という思いが拭えなくなる。実は、メアリーからは頻繁に電話でメッセージが送られてきたが、それがエスカレートし、勝手に家に上がり込んで食料を置いていくようになったというのだ。牧師は「ゾッとしました」と振り返るが、若いロンダの存在が年老いたメアリーの嫉妬心に火をつけたのだろうか? 

警察がマークする間もメアリーは教会に足を運び、ロンダの両親を慰め続けていたが、ついに決定的な証拠となる銃が湖から見つかり、彼女は逮捕される。メアリーは無実を訴えたが、10日間続いた裁判で陪審員たちが下した評決は第一級殺人罪で有罪。終身刑の身となった。 

しかし、ここで当局はある疑念を抱く。つらい介護をメアリーに強いた父エドはなぜ消えたのか?
と。トライオール巡査は当時から何かがおかしいと感じていたからこそ彼女に近づき、熱心に話を聞いていたのだ。悲しんでいるようには見えないメアリー、杖を突きとても遠出できる状態ではなかった父親、中身がすべて出されて空になった車のトランク。そして冷凍庫の中に袋詰めで入っていたという犬の死体……彼女の狂気を感じさせるヒントは決して少なくなかったのである。 

トライオール巡査はいまでも、エドの事件を解決していたらロンダの悲劇を防げたのではと悔やんでいるそうだ。

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