ロケットの秘密に迫る!クイズにチャレンジ in 名古屋市科学館

開場1時間前。スタッフが受付のテーブルを設置していると、駆け寄ってきた少年がいた。「コズミックカレッジ、ずっと楽しみにしていたんだ!福井から来たんだよ。」

宇宙には、その尽きない謎で大人だけでなく子供も魅了する力があるのだ。

 

 
 
「コズミックカレッジ」は、人類のフロンティアである宇宙の不思議と宇宙を目指す人類の挑戦をテーマに映像と実験を組み合わせ、解説していく体験型サイエンス教室。9年目を迎えた今年は、ディスカバリーチャンネルのハイクオリティな映像とJAXAのホンモノ実験教室、さらにNHK「コズミックフロント」の高精細な映像で、宇宙への学びを深めてもらう機会を提供することを目的とした新プログラムの開発を行い、宇宙開発分野で世界をリードする三菱電機株式会社の特別協賛を得て、全国5都市(東京、神戸、名古屋、札幌、福岡)で開催されている、他に類を見ない無料イベントだ。

 
今年は、ツアーが行われる5会場でそれぞれ違う特別講演や実験プログラムが組み込まれている。このレポートでは、各地域で展開された特色溢れるプログラムを一部抜粋して紹介する。

2017年11月4日(日)、三連休最終日にも関わらず会場である名古屋市科学館には500組を超える応募総数から当選した170組の親子連れが集まった。

この日は、天文課で学芸員をしている持田大作(もちだ たいさく)さんからロケットの秘密を教えてもらう。持田さんは小学生のときに初めて望遠鏡で土星を見て、その星の向こうに行くロケットはどんなものなのだろう、と天文やロケットに興味を持ったそうだ。

 
かつては、宇宙に人工衛星を届けるロケットはアメリカ、ロシア、ヨーロッパが主流だった。しかし、日本のH-IIBは2009年に打ち上げてから一度も失敗がないロケットとして、今世界から注目を浴びている。

今まさに注目を浴びる日本のロケット技術とは?

ロケットを発射させることを考えるにはボール投げを考えると分かり易い、と持田さんは言う。地球には重力があり、地球がボールを引っ張るために、ボールを投げても地面に落ちてしまう。それでは、そのボールをもっと速く、もっと遠くへ投げるとどうなるだろうか。

地球は丸いので、非常に速いスピードで、且つ遠くへ投げると地球を一周してしまう。

「ある速さよりも速く投げると実は物は落ちなくなる」、これが人工衛星の原理だ。

それではどれくらいの速さで投げれば落ちないのか。

① 秒速1km

② 秒速8km

③ 秒速11km

正解は②の秒速約8km。

これは時速に変換すると時速28,000kmの速さとなり、地球の周りは凡そ40,000kmなので、地球を約90分間で一周するほどの速さである。これがロケットのスピードに繋がっている。ちなみに、①の約1kmは鉄砲の弾の速さであり、いつかは地面に落ちてしまう。③の約11kmは地球の重力を振り切り他の惑星に行ってしまうほどの速さだという。

ロケットはどうやってその「速さ」を得るのか?

さて、そこで疑問になるのは、それほどまでの速さをロケットはどうやって得るのか、ということだろう。水素と酸素を燃やし、それを爆発させることによって水蒸気が発生する。その反動でロケットが進んでいくのだ。

これも、他のもので置き換えてみると分かり易い。空気が入って膨らんでいる風船を思い浮かべてみよう。その風船の口を開けると、風船が勢いよく動きながら落ちていくのが想像つくだろうか。それは、風船の口から空気が逃げていて、その作用反作用で風船が動いているのだ。

その作用反作用のスピードを得やすくする工夫が2つ、ロケットには施してある。

① 軽いロケットを使う

② 多くのガスを速く出す

まずは①の「軽いロケットを使う」工夫から見ていきたい。実際に現在活躍しており、宇宙ステーション補給機「こうのとり」を運んでいるH-IIBを例に考えてみる。車1台が約1トンと考えると、重量をイメージしやすいのではないだろうか。約17トンと聞くととてつもなく重いように思うかもしれないが、実はこれでもかなりの工夫をして軽くしているのだそうだ。約17トンを宇宙に打ち上げるために約500トンもの燃料を使っていることがわかる。

 
名古屋市科学館ではこのH-IIBロケットと、国際宇宙ステーションと日本の実験棟「きぼう」のモジュールを展示している。実際の試験に使われたものなので本物さながらの大きさを実感できる。

 

ここで問題だ。これほど多くの燃料を積むロケットだが、その燃料タンクの外壁の厚さはどれくらいだろうか。

① 3mm

② 3cm

③ 30cm

 

答えは、①の3mmだ。

ジュースの缶と比較してみる。ジュースの缶の厚みは0.1mmで、同じ直径にした場合の燃料タンク外壁の厚みは0.04mmとなる。なんと、宇宙に打ち上げている燃料タンクの外壁はジュースの缶よりも薄いのだ。

 

しかし、ただ薄くしているだけではない。それだけでは壊れてしまう。実はもともとの厚みは2.5mmとなっているが、2.5mmのままだと、重すぎて打ち上げることができないので、アイソグリッド構造という、内側が三角の形にくり抜かれた壁にしているのだ。この工夫により、軽くて丈夫な壁となっている。

 

ロケットを軽くし、多くのガスを速く出す工夫とは?

ロケット先端にも軽くする工夫がされている。ロケットは、打ち上げ時に大きな音が鳴り、強い衝撃を受ける、また、発射時には外気との摩擦が生じる。それらから守るため「フェアリング」と呼ばれるカバーがロケットに取り付けてあるのだが、打ち上がった後、外部空気が薄くなる上空100kmほどで役割りを果たしたことになるので、その時点でフェアリングは海に落下させる。

名古屋市科学館にはその海から回収してきたフェアリングが展示されている。フェアリングの壁は蜂の素のような形をした「ハニカム構造」になっており、ロケットを少しでも軽くする工夫がされている。

 

次に、②の「多くのガスを速くだす」工夫としてエンジンを見ていく。名古屋市科学館にはH-IIロケットの本物のLE-7エンジンが展示されている。エンジン部分では、燃料である液体水素と液体酸素を燃やし、水蒸気を噴き出している。その水蒸気は約3,000℃にまでもなるのだが、この温度では鉄が溶けてしまう。エンジンの淵を見ると、細いパイプが連なっており、ここには-250℃の液体水素を流しており鉄が溶けるのを防ぎ、より多くの水蒸気を出し、ロケットのスピードを上げることに貢献している。

 

学びの楽しさを実際に体験することで学校の成績もグングン伸びることが報告され、注目を集める「アクティブ・ラーニング(能動的学習)」。ディスカバリーチャンネルはコズミックカレッジをはじめとするイベントや放送を通して、アクティブ・ラーニングを支援している。

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