RALLY NIPPON 2017【レポート後記】様々な参加者、それぞれの思い

ザ・ペニンシュラ東京の地下駐車場。薄暗い照明の向こうに、RALLY NIPPON 2017の走行を終えた車たちが4日間の走行の疲れを癒すように佇んでいる。その中に浮かび上がる艶やかなレッド。現代音楽家 東儀秀樹氏のAC ACEだ。2008年の第一回からRALLY NIPPONを常に支えてきた氏に、自身のクラシックカーにはせる思いを聞いた。

 

何歳になってもワクワクする世界

 
東儀:「以前から車は好きで、スーパーカーとかに乗っていたりはしていたんだけれど、何かこう、物足りないところに、2003~4年くらいに クラッシックカーで走り合っている人たちのことを知ったんです。それが、物をとても大事にして、頑張って何かを狙っている様な感じがして。新しい車って、変な話嫌な言い方するとお金がある人ならば、なんでも手に入れることが出来る。(でも)クラッシックカーって言うのは、出会いの運命とか、そういうところの縁がないとどんなに欲しくても手に入らない。そう言うところで車自体に興味を持ちました。

それから、外国なんかはクラシックカーイベントというと、本当に大人の世界がすごく確立されている。日本って今どういう訳か子供受けするものに大人たちが迎合して、(その子供ウケするものを)知っていないとバカにされる。そんな日本じゃなかったはずなのにって気になってたんですよね。

外国だと憧れる大人像があって、それに子供が近づいて行こうとすると「君にはまだ早い」とか、「良く見てごらん」とか、「オトナの仲間へどうぞ」っていう、しっかりした大人がいて、憧れる子供がいて、「いつかはあそこに入れるかなぁ」ってワクワクする子供がいたはずなんだけれど。だから日本でもこの(クラシックカーの)世界はそれをまだ守ることが出来そうだなって思って。

僕は58歳なんだけれども、この世界の領域ではまだ下の方。普通世の中的に言うと50代60代って言うと、もう下から無視されたりするけど、(クラシックカーの世界では)まだ上を見て、ああいう風になれるかなってワクワクできる。」

季節外れの台風に見舞われた4日間の走行に疲れを見せることもなく、冷静な表情で質問に答える東儀氏の横には 凛とした顔つきの少年が立っている。氏の長男、典親(のりちか)君(10歳)だ。今回は父親とこのレースに挑戦した。互いに和気あいあいとした仕草こそないが、何も語らずとも二人の仲睦まじさと信頼関係がこちらに伝わってくる。

 

クラシックカーを次世代へ

前田:「(クラシックカーは)途中止まっちゃったりするんですよ。だけど、殆どの場合はその場で直るんだよね。で、なんで直るかって、人間が作ったから直るんですよね。人間の手で作ったから、人間の手で直せるけど、人間の脳で作ってプログラムされたものっていうのは、直せない、その場では、絶対に。手を使ってないから。手で作られたものは絶対に手で直るんで、それが、クラシックカーレースの醍醐味じゃないかと。で、それをなんか改めて確認する場所っていうか、A地点からB地点までの移動を楽しんでるというよりも、手で作られたものは絶対に正しいんだ、手で直るんだってことを証明して、あちこち周るっていうか。

10年前に比べたらずっとこういうイベントも増えてますし、それから、それを楽しんでる人の楽しみ方がもっとカジュアルにもなってきている。もちろん格式を守るっていう部分はなきゃダメだと思う一方で、もっともっと参加者に開いていくような、一部の人しか体験できないものじゃなくて、色んな人たちが体験の可能性あるイベントは増えて来たなぁって思いますね。車両自体の金額ってあんまり意味がないと思うんですよ。例えば、1974年よりも前の車両であれば良いのだから、RALLY NIPPONの場合は。だとしたらスバル360だって参加が出来るわけで、例えばカローラやサニーのような60年代後半から70年代の高度成長期を支えたニッポンの車も誇らしく乗っても僕良いと思うんですよ。

あとは踏み出すか踏み出さないかだけだと思っていて、単に憧れるだけじゃなくて、一年でも良いから所有して体験してみるって貴重なんじゃないかなって思います。」

駐車場を後にし、地上に出るとホテルのエントランスは まだゴールを祝福する和やかなムードで満たされていた。まだ10月というのに冬の訪れすら感じさせる曇天とは対照的だ。その中でもひときわ朗らかなグループが、終始談笑を続けている。聞けば 大学の自動車部の同窓生たちで、その中の一人が自身の子供と一緒に出場するというのでこぞって応援に来たという。

走行したの本人に感想を聞くと、明るい笑顔をさらに輝かせて答えてくれた。

車は一つの触媒、目的は人との交流

木綿さん(参加者)親子:「乗ったのは1958年FIAT・アバルト・750GT ・ザガートです。エンジンもだから750cc だから、バイクのナナハンと同じエンジン。エンジン43馬力でも200キロ出るんです。ボディは全部アルミで出来ています。

今回は過酷でしたけどきっと一生印象に残る記憶に残るラリーでしょうね。日曜日はね、台風の中、高速道路を走ったんですが、昔の車ですからライトが暗いんです。しかも僕のはライトが一つ、消えてしまったんです!もうほぼ真っ暗しかも、デフロスターなしで窓が曇って、前が見えない。ワイパーの動くスピードがこんな風(ゆっくり動いてるジェスチャー)で、息子に中から拭いてもらいましたよ。楽しかった。

とにかく、ラリーの目的は、楽しむ。まずこれですね。それに参加者の皆さんと仲良くなれます。まぁあの、車は一つの触媒で、目的は、人ですから。車は単なるそれの触媒。みんな車大好きなんですね。車の話をしてみると、ほんと寝るのも忘れるみたいな。で、一番良いのが夫婦で参加されてる方とか家族で参加されてる方多いこと。本当に車を愛でてるっていう印象でしたね。ああいう家族になれるといいなぁと思います。うちの嫁も車好きになってくれればいいかなって(笑)。」

ひとしきり笑い、語り合った後、一行はザ・ペニンシュラ東京のエントランスに整列し、記念写真を撮った。旧交を温めた皆の表情は一様に満ち足りている。ゴールのために用意されたカラフルなバルーンが その微笑ましい光景を彩っていた。

(敬称略)

RALLY NIPPON2017に出場したクラシックカーを紹介する「RALLY NIPPON名車録」は ディスカバリーチャンネルで11月25日(土 )昼12:53 スタート!
ディスカバリーチャンネルを未視聴の方は、こちらからご確認ください。

RELATED POST