いいこと?わるいこと?FBIすら中を覗けないスマートフォン

11月初め、米テキサスの教会で銃乱射事件が起きた。FBIは容疑者のiPhoneを入手したものの、その中身を見ることには成功していないと発表されている。容疑者は犯行後自殺しているため、容疑者にアンロックさせることができない状況だ。スマートフォンが暗号化のせいで法執行機関が情報にアクセスできないことにFBIは不満を募らせている、と海外メディアでは報じられている。

乱射事件に犯人のiPhone、というと、2015年にアメリカで起きたサンバーナーディーノ銃乱射事件が思い起こされる。この事件でもFBIは容疑者のiPhoneを押収、容疑者は射殺されたためアンロックすることができなかった。FBIは、iPhoneの製造・販売元であるApple社にすべての端末をアンロックするためのマスターキーを作るように要請。しかし、CEOのTim Cookはこれを拒否したため、結局FBIは民間会社に多額の費用を支払いこれをハックすることになった。

今回のテキサスでの乱射事件に関しては、The Washington Postの8日付の報道の時点では、FBIはAppleの助けを要請しておらず、クラウドストレージやノートパソコンなどからiPhoneのデータにアクセスする手段がないかを探っているところだ。この事件の犯人がAppleの指紋認証システム「Touch ID」を使用していたかどうかは不明だが、Touch IDでは、48時間の間iPhoneのロックを解除していない場合、指紋での解除はできず、パスコードを入力しなければいけなくなる。もしかしたら死亡した犯人の指紋を使ってiPhoneを解除することもできたかもしれないが、他の方法が上手くいく可能性もあるだろうし、また民間会社に多額を支払いハックしてもらうことになるかもしれない。

法執行機関からすれば、iPhoneに事件の鍵が眠っている可能性があるのだから開けたいのは本音だろう。ただ、デバイスを作った側からすれば、もしもマスターキーを作ってしまえば悪用されかねないし、現代のデジタル技術において重要な要素である情報の安全性を崩しかねない。もし情報が漏れ出るような機器やサービスであることが知られれば利用者だっていなくなってしまうだろう。個人情報と国民の安全、国と企業。様々な要素が絡み合う中で、スマートフォンというプライバシーの金庫を巡る議論はまだまだ続きそうだ。

FBI tries to crack another smartphone: 5 essential reads(The Conversation)

FBI unable to break into Texas church gunman’s cellphone(Los Angeles Times)

Texas gunman’s iPhone could reignite FBI-Apple feud over encryption(The Washington Post)

U.S. Says It May Not Need Apple’s Help to Unlock iPhone(The New York Times)