Credit : Yohta Kataoka

「亀田の柿の種」はなぜ宇宙食になったのか?

その種は、宇宙にどんな花を咲かせるのだろうか?

日本を代表する米菓、「亀田の柿の種」が、宇宙食としてJAXAの認定を取得したというニュースが流れたのが今年の8月。ニュースを読んだ世の柿の種ファンたちの脳裏には、柿の種が無重力空間をバラバラと舞っている光景が浮かんだに違いない。

「よりによってなんで柿の種が?」

亀田製菓はなぜ柿の種を宇宙に送りたかったのか? そしてJAXAはなぜ「柿の種」を宇宙食として認定したのか?そのあたりの真相を探るため、亀田製菓に直接話を聞いてみることにした。

インタビューに答えてくれたのは、「亀田の柿の種」のブランドマネージャーである鈴木智子さん。まずは「柿の種を宇宙食に」というこのプロジェクトが始まった経緯について。

亀田製菓の看板商品「亀田の柿の種」のブランドマネージャーを務める鈴木智子さん – Credit: Yohta Kataoka
 

<鈴木さん>
まず、昨年が「亀田の柿の種」が発売されて50周年、そして今年が亀田製菓の60周年というアニバーサリーが続き、この節目のタイミングで亀田製菓の看板商品である「亀田の柿の種」でなにかしたいと考えました。

「亀田の柿の種」には、「亀田の柿の種」を世界中の人に食べてもらいたいという大きな夢がありまして、より多くの人たちに届けたいと思ったとき、宇宙食に認定されることでより広範囲に発信できるのでは?と考えました。

ちなみに、柿の種の世界進出はすでに進んでおり、アメリカ、中国ではすでに販売中。現在はインドの一地域でもテスト販売が行われているそうだ。人口の多い国トップ3カ国での展開。3ヵ国の人口を合算すると30億人を超える。柿の種の野望、恐るべし!

「世界中の人に食べてもらいたいから、宇宙食にしよう」という「柿の種宇宙食化」プロジェクト。実は今回の計画の実施に際し、亀田製菓には別の優位点もあった。それはあの尾西食品が亀田製菓のグループ会社だったということだ。

尾西食品は非常用の保存食やキャンプ等での携行食として有名な「アルファ米」(長期保存ができ、水で作ることができるご飯)を、70年以上も前に製造した会社。いわばアルファ米のパイオニアで、4年前に亀田製菓グループに入った。そしてその尾西食品は、今から10年前の2007年に、アルファ米でJAXA の宇宙食認定を得ており、今回の「柿の種」の案件でも、その経験と知識を共有することができたのだという。

尾西食品経営企画部兼営業企画部の伊藤秀朗さん – Credit: Yohta Kataoka
 

さて、宇宙食認定の話はいったん置いといて、柿の種の食べ方について。柿の種ファンの間では、「柿の種はおつまみ派」(ひと粒ずつつまんで食べる)、「柿の種はごはん派」(手のひらに山盛りにしてむさぼり喰う)、「柿の種は飲み物派」(小袋から口に直接流し込む)など、さまざまなスタイルがあるが、宇宙食となった「亀田の柿の種」は地球のものとパッケージが大きく異なる。宇宙ではどうやって食べるのが正解なのか。無機質で透明なプラスティック容器。こちらの開発についても話を聞いてみた。

<鈴木さん>
内容量は、市販の小袋とほぼ同量で35グラムです。柿の種が飛び散らないように、面ファスナーがついていて、何度も開閉できるようになっています。またアポロの時代から宇宙船内には壁に面ファスナーが貼ってあり、小物などは面ファスナーで固定するようになっているので、容器の底にも面ファスナーがついています。

流し込んで食べるのは…、おそらく無理だと思います(笑)。ひと粒づつ、つまんで食べるようにイメージしています。

パッケージの開閉部と底面に面ファスナーがついている。ちなみに柿の種とピーナッツの割合は、市販品と同様に重量比で約6対4 – Credit: Yohta Kataoka
 

もともと柿の種の保存上の問題は、煎餅が湿気てしまうことと、ピーナッツが酸化してしまうことで、亀田製菓の市販の小袋は、窒素を充填するという技術で、長期間の保存を実現している。

しかし、その市販の柿の種でも賞味期限が150日であるのに対し、宇宙食では常温で1年半の保存が条件となっており、今回の認定では、この保存の問題にも苦労したそうだ。

<鈴木さん>
柿の種とピーナッツの重量比を替えたものや、柿の種の味を替えたものなど、合計20パターンぐらいのサンプルを作り、乾燥剤などを入れたJAXA指定のアルミパックで包装し、実際に1年半常温保存しました。もし保存に失敗していたら、また1年半かけて実験をしなければならなかったところです。

宇宙食を入れるためのJAXA指定のアルミパック  – Credit: Yohta Kataoka
 
こうして柿の種は3年の月日をかけて、さまざまな難題を乗り越え、見事に宇宙食として認定された。今回の認定はJAXAがプレゼンテーションしている「宇宙日本食」のシリーズ。ISS(国際宇宙ステーション)における通常の食事は、アメリカとロシアのものが使用されているため、宇宙日本食は特別なボーナスメニューだそうだ。

JAXAからの具体的な注文はこれからだが、いずれ納品して、ISSで他国のクルーたちから、「柿の種、毎日食べたい」というオーダーが入れば、NASAからの依頼でレギュラーメニューになるかもしれない。

「亀田の柿の種〜宇宙味」が発売されるとしたら、いったいどんな味なのだろうか? – Credit: Yohta Kataoka
 

 柿の種 KAKITANEX LABO TOP 

RELATED POST