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身内の中で起きた欲と裏切りのストーリー 事件の真相をたぐりよせた母の “違和感”の正体とは

いつもと変わらないはずの日常に、ふと覚えた“違和感”の影には重大な何かが潜んでいることがある。消えない火のように頭の片隅に残ったそれは、いつしか巨大な“疑惑”となって思考全体へと燃え広がっていく——。 

2008年11月20日、ニューヨーク州北西部で農場を営むカールセン夫妻の息子・リーバイが自宅ガレージで死亡しているのが発見された。警察は、彼がピックアップトラックの下に潜って修理をしていたところジャッキから外れたトラックの車体が落下し、胸部を直撃したことによる事故死として処理。しかし、妻のシンディーはこの日ガレージで流れていたのが義理の息子が普段好んで聴くへヴィーメタルではなく、カントリー音楽であったことに少しの違和感を覚えていた。 

以降、彼女は偶然では片づけることのできない衝撃的な事実に次々と直面することとなる。夫・カールがリーバイに働きかけて事故の2週間前に加入させた生命保険と、その受取人として彼が70万ドルを手にしているということ。自宅火災によって死亡したカールの前妻にかけらていた20万ドルの保険、それが火災の12日前にカールによって加入されたものであること——これらの事実は、彼女の中に芽生えた「息子を殺したのは夫ではないか?」という疑念を確証へと変えるのに十分なものだった。 

その後、シンディーと警察はおとり捜査によってカールが犯行を告白する言質の録音に成功し、尋問するための証拠を確保した。2012年11月24日、カールは第二級殺人罪で起訴され、捜査官たちは4年前に父と息子の間で何が起きたのか、その全貌を知ることとなる。 

あの日リーバイの上にトラックを落下させようと車体を押す少し前、カールはカントリー音楽の流れるラジオをつけて音量を全開にした。息子の命を奪うその刹那、彼があげる叫び声をかき消すという恐ろしい目的のためだ。だが、保険金詐欺のプロとして仕事を遂行するならば、ラジオのチャンネル選択にも注意を払うべきだった。もはやカールにとって息子が普段どのような音楽を好んで聴いているのかなど、全くもって関心の無いことだったのだろうが……。 

つまり、シンディーがあの日現場で感じた違和感とは、7歳のときから15年間にわたってリーバイの成長を見守ってきた彼女だからこそ気付けた、残忍な犯罪計画におけるわずかな“ほころび”だ。親と子をつないだのは“血”ではなく“時間”——もっとも、金のために家族を殺められる人間に、そもそも“血”など通っていないのかもしれないが。 

 
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