Credit : Yohta Kataoka

【都立園芸高校昆虫部】世界的飢餓から人類を救うのは…昆虫食!? -前編-

昨今、世間の昆虫食に対する関心が高まってきている。単なる罰ゲームのようなノリではなく、真面目に昆虫を食材として捉えた関心だ。世界の飢餓の撲滅を目的とする、国際連合食糧農業機関(FAO)も、将来に起こりうる食糧問題の解決手段として昆虫食を推奨している。

そんななか、東京都立園芸高等学校の昆虫部の生徒が、今年11月に開催される園芸展(文化祭)で昆虫食をテーマにした展示を予定しているという噂を聞き、取材することにした。昆虫部の部員たちが事前に昆虫食会を行い、その結果を園芸展用にまとめ、各料理の味の評価を星で採点するほか、レシピなどを発表する予定だという。

まずは昆虫食会に向け、食材の入手から。部長と2人の副部長の買い出しに同行させてもらった。

昆虫部 部長の濱中くんは、生物好きがたくさんいる園芸高校の中でも屈指の昆虫博士。少しおっとりしているけど、昆虫の話をするときはキラキラと目が輝く。彼が今回の昆虫食大会の発案者だ。彼が昆虫食に興味を持ったのは、中学生のとき。『人生が変わる!特選昆虫料理50』(山と渓谷社)という本と出会ったのがキッカケだった。

「もともと自然環境を勉強したいと思っていたんですけど、今は“食”について興味がわいています。畜産動物より生産性が高くて、貧困国の食糧不足が解決できればいいかなって思ってます」(濱中くん)

とても優等生な答えだけど、アカデミックな好奇心だけで昆虫を食べたいと思っているわけではないようだ。

 「どんな味なのか、とにかく食べてみたい!」(濱中くん)

昆虫の味に対する好奇心がありありと伺える。 普通の高校だったら、クラスの変わり者で終わってしまうかもしれないけれど、さすがは園芸高校、昆虫を食べたいという仲間はたくさんいた。副部長の小林くん、2年生の副部長、阿部くんも、昆虫食には詳しい。

Credit: Yohta Kataoka – 見た目はごく普通の男子高校生。昆虫食の食材の買い出しとは想像もつかない

さっそく3人で食材の買い出しに出かけた。今回は初めて昆虫食に挑戦する部員も多いため、衛生面を鑑みて野生の昆虫を捕まえるのではなく、食材や餌として販売されているものを使うことにしたそうだ。

まず最初に到着した場所は、新宿区の大久保にある『アジアスーパーストア』というお店だ。大久保と言えば、日本最大のコリアンタウンだが、中国、イスラム、タイなどの料理店もたくさん並んでいる。『アジアスーパーストア』は、おもにタイ料理の食材を扱っているお店だ。

Credit: Yohta Kataoka – 新宿、職安通りにあるアジアスーパーストア。タイ料理の食材が豊富に揃っている

店内に入ると、スパイシーな良い香りが漂っている。様々な食材が並ぶコーナーには当たり前のようにタガメが並んでいた。

Credit: Yohta Kataoka – アジアスーパーストア、おすすめの商品。「タカメ」は誤植だがお値段もタカメ

4匹で498円。スーパーで購入する赤エビなどに比べたら数倍高い高級品。タイでは食用に養殖されているのだそう。 

「量産されていないからどうしても値段が高くなっちゃいますね。本格的に養殖したら、もっと安くなると思いますよ」(阿部くん)

Credit: Yohta Kataoka – どちらのパックのタガメの方がおいしそうか、真剣に見定める

さっそく、食材を見つけて笑顔で買い物かごに放り込む。他にも、冷凍されたイナゴの唐揚げ、アリの卵などを購入する。 

「アリの卵は世界でとても食べられていますよ。主食にしている国もあります」(小林くん)

Credit: Yohta Kataoka – ココナッツミルクの横に、平然と売られているアリの卵の缶詰

大久保のアジアスーパーストアでひと通り欲しいものを入手したのち、一行は上野に向かう。目的地はアメ横にある、やはりアジア食材のスーパー。

移動中の電車内での3人の会話がおもしろい。動物の骨格標本を作る話や、ペットの蛇が家の中で逃げた話、豚の品種の話、学校で鶏をしめた話、などなど…。

園芸高校を選んだだけあって、本当に生き物が好きなんだなあと伝わってくる。彼らは、生き物を見ると「かわいいなあ」と「美味しそうだなあ」という気持ちが同時に湧いてくるという。アンビバレントな感情に見えるけど、実はそれは生産者の当たり前の気持ちなのかもしれない。

Credit: Yohta Kataoka – 異国情緒漂うマーケットで。店員さんもお客さんも、ほぼ外国人

この日購入した食材のほかに、通信販売でもいろいろとオーダーしているという。これらの食材を調理して、いったいどんな昆虫食会が開催されるというのだろうか?

その模様は、後編で。

【東京都立園芸高等学校】
東京都世田谷区深沢5-38-1
園芸展(文化祭)は11月11日(土)、12日(日)に開催

※どなたでも見学することができます

ライター 村田らむ

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