Credit : Discovery Communications

700万ドルの札束ときらびやかな魚たちを守る巨大な金庫型水槽! 夢をかなえる水槽づくりのプロ集団に密着

ここ数年、オトナがハマる趣味として注目を集めているのがアクアリウム。愛好家である“アクアリスト”たちに言わせれば、水槽という限られた空間の中で、熱帯魚や水草、サンゴ、照明などを組み合わせることによって、頭の中に思い描いた世界を自由に創りだせることが大きな魅力だという。 

自らの手でコツコツと水中世界を作り上げていく個人の趣味としてのアクアリウムがある一方で、顧客からのオーダーをもとに水槽をプロデュースする“プロ・アクアリスト”という職業が存在する。 

ネバダ州ラスベガスにオフィスをかまえる「Acrylic Tank Manufacturing」(以下ATM)は、アメリカで最も成功している水槽製造会社のひとつ。家族経営の同社を率いるのは、義理の兄弟であるウェイドとブレットのコンビだ。 

彼らが手掛ける水槽は、セレブの豪邸からホテルやレストラン、カジノに設置する超巨大なものまで多岐に渡るが、いずれの施工にも共通するのは、クライアントの“どんな要望にも応える”ということ。常識を軽々と飛び越える突飛な発想と、ベテランの確かな技術によって、彼らは見る者すべてを虜にする夢のような水槽をいくつも作り出してきた。 

しかし、やたらと短パン着用率の高いデブとハゲのおっさん(失礼!)2人組が、芸人顔負けの掛け合いを繰り広げながら、時にスタッフと大ゲンカしたり、予期せぬトラブルに見舞われたりと、彼らの制作過程はまるでドタバタコメディのよう。それでいて、完成品を見た依頼人たちはみな一様に目を輝かせて感嘆の声をあげるのだから、そこにはあえてカメラが映しださない職人による真摯な“ものづくり”の時間が費やされていることは間違いない。 

そんな彼らに今回水槽作りを依頼してきたのは人気ヒップホップアーティストのタイガで、新居となる豪邸に水槽を飾りたいのだという。あのキム・カーダシアンの異父妹カイリー・ジェンナーの元カレとしても知られ、大金を表すスラング“ラック”をタイトルに冠した曲「ラック・シティ」を大ヒットさせたタイガだけに、そのオーダーは「金庫型の水槽内に“大量の札束”を積み上げる」という、すがすがしいほどの成金スタイルだ。 

やはり水槽内に積み重ねる大量の札束が重要なポイントになるが、これに取り組んだのはウェイドの妻たち。札束を型取ったシリコンに樹脂を流し込むと、手作り石鹸のような物体が出来上がってしまった。そしてその表面に樹脂で覆ったお札を1枚だけ貼り付けて帯封を巻くと……あっという間にフェイク札束の出来上がり! これを大量に作っていけば、立派な“ラック”の完成である。 

そして水槽を覆う金庫型のカバーにウォータージェットでイカしたドルマークの通気孔を開け、タイガのイメージに合うゴージャスできらびやかな魚を厳選したら、残るのは最大の難関となる搬入作業だ。フォークリフトまで稼働させて巨大なパーツの移動に奮闘するATM軍団だったが、40度を超す気温や、階段の段差、鍵のついた門によって作業は難航を余儀なくされた。 

大騒ぎの搬入を経て完成した水槽は、高さ2メートル、水量は1500リットルに及んでいた。日本のアクアリストたちの間でポピュラーな水槽の容量が60リットル前後であることを踏まえると、いかに桁外れなスケールであるかが分かるだろう(そもそもタイガ宅の豪邸っぷりが日本の住宅事情からは比べようがないのだが……)。 

ようやくイカつい金庫の中で、ゴールドやトラ柄の魚 50匹が700万ドルの札束と共存する、とびきりクレイジーな水槽との対面を果たした依頼人のタイガ。「これだぜ!!」という彼の雄叫びこそ、今回の仕事も間違いないクオリティであったことを物語っている。 

クライアントが頭に描くイメージを引き出し、それを具現化するどころか、凌駕する形でアウトプットする――そんなATMの仕事には、いつだってプロフェッショナルの神髄が詰まっているのだ。 

『魅惑のアクアリウム』はアニマルプラネットにてご視聴頂けます。アニマルプラネットを未視聴の方は、こちらからご確認ください。

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