Credit : ESA

宇宙から南極の隠れた峡谷発見…氷の崩壊招く可能性

地球上で最も南にある、南極大陸。その98%は氷で覆われているが、地球温暖化の影響もあり、その氷は年々溶けて少なくなっている。多くの科学者たちが南極に滞在し、その変化しつつある環境と、溶ける氷によって起こる生態系への影響を調査しているが、彼らの目には見えない場所でも南極はその姿を刻々と変化させ続けている。 

南極の氷の下には多くの巨大な峡谷があることが知られていたが、それらがどのようにして表面の氷に影響を与えるのかは謎のままだった。 

科学者たちは欧州宇宙機関(ESA)の地球観測衛星CryoSatで、南極の棚氷(陸上から連結して海上に広がる氷)の表面の変化を調査。同じくESAとEUが開発した地球観測衛星Sentinel-1を用いて、南極の周りに広がる棚氷の下で何が起きているのかを調査した。 

科学者たちは今回、南極の西側にあるダットソン棚氷に注目している。英国エディンバラ大学のNoel Gourmelen氏によると、CryoSatから送られてくる海抜のデータと、Sentinel-1から送られてくる氷が動く速度のデータに微細な変化を確認。不規則に溶ける氷から、ダットソン棚氷に沿って、幅5km、長さ60kmの峡谷が存在することが確認できたというのだ。この峡谷はおよそ摂氏1度の、南極としては温度の高い水によって侵食されてできたと考えられている。 

Gourmelen氏は過去の人工衛星からのデータを再調査し、同様の融解パターンが過去25年間に起こっていたことを突き止めた。また、この峡谷が毎年7m深くなっていっているということも判明した。 

ダットソン棚氷は約400億トンの水を保有している。すでに南極の棚氷は温暖化のため薄く、壊れやすくなっており、今回判明した侵食が続く峡谷を考えると、表面に広がる棚氷の崩壊は時間の問題と言えそうだ。 

Gournelen氏は今回の方法を南極の他の棚氷にも利用し、見えないところに隠れている峡谷の進行を調べるとしている。南極の棚氷が崩壊すれば、それだけ海面が上昇することを意味する。島国である日本に住んでいる我々からすれば、見過ごせない問題となりそうだ。

ESA
http://www.esa.int/Our_Activities/Observing_the_Earth/CryoSat/Secrets_of_hidden_ice_canyons_revealed

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